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海野の運営する無節操ブログ。
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書いても書いても推敲しても読み直しても納得しないけど、きっともうどうにもできないからのせてしまいます。
そんなんだから上達しないんだ!

映煙というより映→煙→警かな?でも表面上は映→警のふりをしている映さん、みたいな。
わかりにくいなぁ。

それでも読めるよ!という心の広い方は「つづき」からどうぞ。


ちなみにお題はこちらから拝借しました。
確かに恋だった(http://have-a.chew.jp/on_me/top.html)より、ギャグちっく20題
全部書けたらすごい楽しそうだなぁ。

拍手[3回]


01.丁重にお断りします(映→煙→警)

部屋で一人、何故か正座で携帯電話を握りしめているのは映画泥棒。
対する電話の相手は、スモーカー。

「丁重にお断りします」
「ああ!?」

携帯の向こうから響いたどなり声は、まさに今すぐにでも
意味が分からない!!
と言いたげな様子であった。

「意味がわかんねえ!」
ていうか言った。

まぁ言わずに済ますような男でない事は勿論重々分かっていたのだが。



真夜中にいきなり鳴り響いた着信音。
相手の名前が表示されて、少し驚く。
通話ボタンを押す前に、ひとつ深呼吸をして。
いつもの通りの声で、いつものように対応した。

何でも仲間と飲んでいるうちに終電を逃して、今は明かりの消えた街の真ん中で一人佇んでいるのだそうだ。
酔っているせいか、そんな状況なのに、いつもより少し上機嫌な彼の声。
電話の相手は他ならぬこの自分だと言うのに。

「間抜けな話ですね」
「うるせーよ」
「で、何の用なんですか」
「だから…お前の家ここから近けぇだろ?わりぃけど一晩泊めてくれって」
「丁重にお断りします」
「だから何でだよ!」

ふと。

『普通』を『装おう』としている自分に気がつく。

いつものように。
生意気な口調をキープして。
人をおちょくるような態度を心がけて。
気付かれる事の無いように。
慎重に慎重に一つ一つ単語を選んでいる。

情けない話だ。

そんなものを気にかける時点で普通ではないではないか。

どこへ行った。
いつも流れるように空気のように彼に対応していた自分はどこへいった。
彼をおちょくり続けて、最後には怒らせてしまういつもの自分はどこへいった。
周りに人がいないだけで、一対一になるだけで、こんなにも意識しないといけなくなるなんて。

「いいだろ泊めてくれたって!」
「丁重にお断りします」
「だー!もう!」

いつものように、話せていなかったのだろう。

幾度となく繰り返される同じやり取り。
あまりの定型返答にスモーカーの堪忍袋の緒は切れた。

「どんだけ頑ななんだよ!いいだろ別に!お前今まで何回俺達の家に泊まったと思ってんだ!」
「…だって、そちらは複数形でしょう」
「お前と俺が単数だからってなんか問題でもあんのかよ!!ねえだろ!!」
「まぁ、色々と」
「あんのかよ!!」

怒りながらもツッコミは欠かさないところはさすがと言うべきか。
むしろツッコミを入れる状況を作るこちらがさすがなのか。

しかし次の一言でそんな冷静な観察眼は吹き飛んでしまった。

「…まぁお前が俺のことをそう気に入ってないのは分かってたけどよ」
「…!」
「恋敵だから仕方ねえとはいえそこまで冷静に拒否されると、なんつーか…さすがにへこむぜ、俺も」
「…っちが…」

違う、そうじゃない、むしろ逆なのに。
必死に取り繕うとすればするほど、喉がひりひりと乾いて声が出ない。
何てザマだ映画泥棒。電話だからよかったばれやしないと、堂々と顔色を変えている場合ではない。

好きでも何でもない人にはあんなに好きだと言えるのに。
本当に好きな人にはどうしても自分からは言えなくて。
代わりに、あなたと同じ人を好きだと言えばこっちを向いてくれるかな…なんて馬鹿な考えが浮かんだりして。
実行したら引っ込みがつかなくなって。
いつも無駄におちょくるのも、からむのも、反抗的なのもバカにした態度なのも、本当は全部全部全部全部全部。

あなたが好きだからなのに。

でも声が出ない、どうしても声が出せない。電話なんだからお得意のでまかせでうまくかわせばいいのに。何故。どうして。こんなにも。

「…ま、確かにお前からしてみりゃ、片恋相手のパトの野郎でもなけりゃ男を一人で泊めるなんて御免だよな」
「……あの」
「お前の優先順位ぐらい分かってるさ、別に嫌みで言ってるわけじゃねえ」
「…スモーカーさん」
「悪かったな、無理言って。まぁ俺はどうにかできるから心配すんな。」
「ちが、あの…」
「いいっていいって、じゃあな、夜中に悪かったよ。またな。」
「あ」

決して怒ってはいない。
どんな扱いを受けても仲間に対して心から怒ることは滅多にない。
彼らしい電話の切り方で、通話は途絶えた。

『スモーカーさん』
そう登録名が表示された画面が消えるのが怖くて、途切れたまましばらく呆然と見つめていた。



「…っだい…まだ…大丈夫…」

大丈夫、まだたえられる。
これくらいの傷なら何度でも味わってきたじゃないか。
大丈夫、大丈夫。まだ我慢できる。
ぶつぶつと言い聞かせながら携帯を見つめる視界が、少しぼやけたような気がした。
機械の頭だというのに、ショートしてしまうではないか。

嗚呼。
ここですぐさま折り返しの電話をして、違うんですと告げられたらどんなに楽だろう。
本当に好きなのはあなたなんですと告げられたらどんなに楽だろう。
なりふり構わず飛びついて、愛の告白が出来たらどんなにか楽だろう。

「…そんなこと出来るなら」

馬鹿馬鹿しくって、こんなややこしい性格の人生とっくに放り出しているよなぁ。

自嘲をおさえて立ち上がる。
さぁ明日も早い、もう寝てしまおう。
明日もまた、パトさんをからかいに行かなくちゃ。
パトさんを見つめるあの人の視界の中に私を映しこまなくちゃ。
忙しいんだから、早く、早く寝てしまわなくては。

この馬鹿馬鹿しい意地っ張りの性格に愛想が尽きる前に。
早く、眠ってしまわなくては。


「おやすみなさい…スモーカーさん」


明日もまた、あなたを好きな自分を隠して生きていかなければ。



おしまい。






片思いするのもされるのも似合う。
それがスモーカー。
しかし映さんよなぜそんなにも頑なに隠す。

最後まで読んでくださって、ありがとうございました。
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